2023.05.17

在家仏教徒の心得:やめるべきこと・やるべきこと

『優婆塞・優婆夷授戒式儀軌』抜粋

今週末の5月20日(土)より6月4日までチベット暦4月サカダワ月が始まります。サカダワ月は釈尊の降誕・成道・涅槃の三つの大祭が重なったものであり、すべての仏教徒にとっても一年で最も重要な時期です。

多くのチベット仏教圏ではサカダワ月は完全に菜食したり、潔斎をするなどさまざまな形で仏教を実践し、仏法を実践という最勝なる供養を各自行います。日本にもダライ・ラマ法王が来日された時には、法王猊下も何度も優婆塞(居士)・優婆夷(大姉)の戒律を授けられており、優婆塞(居士)・優婆夷(大姉)として日々仏道に励まれる方も多くおられます。

今週末からのサカダワ大祭の準備のご参考のため、授戒の際に戒師阿闍梨より以下の禁止事項・実践事項について既に説明を受けておられるとは思いますが、ここで以前行った授戒式の資料の翻訳を若干訂正し、ここに改めて掲載します。みなさまの実践のご参考になると幸いです。


在家仏教徒の心得

仏法僧の三宝に帰依する限り、禁止すべき事項と実践すべき事項は以下の通りである。

〔禁止事項〕

  • 仏宝に帰依している限り、梵天等の世間の神々を信頼し、そこに救いを求めてはならない。彼らの肖像等を礼拝すべきではなく、外教徒たちの教祖や不善の友を頼りとするべきではない。
  • また法宝に帰依している限り、如何なる衆生であろうとも、傷つけてはならない。さらにそれを他人にさせてもならない。
  • また僧宝に帰依している限り、外道の友や悪業を為す友を信頼し友とすべきではない。

〔実践事項〕

  • 善逝に対する恭敬心より、如来の身拠をも如来そのものであると想い、礼拝等の所行で恭敬すべきである。如来の像に対して良し悪しを勘定すべきでなく、その資産価値を評価すること、地面などの低い場所に直接置くのは不敬であるので、不敬とならぬよう慎み恭しく取扱わなければならない。
  • 法に帰依している限り、仏説の経帙もしくは一文字以上の文字列を法宝そのものに等しいと考え、それを礼拝供養せねばならず、地面においたり、商品化したり、低い所に置いたり、靴等と一緒に携行しないように注意する必要がある。
  • 僧に帰依している限り、如何なる僧団であろうとも偏ることなく公平に敬わなければならない。たとえひとりの出家者しかいなかったしても、彼を僧宝そのものであると想わなくはならない。また出家者の着用する衣の小さな一部であろうとも足で踏みつけたり、汚い場に放置するなどは為すべきではなく、それらを眼にした時には、速やかに清らかな場所に移動させる等のことを実践していなくてはならない。これらのことに注意し、正しく実践できるよう習慣化していく必要がある。

〔戒体護持への精進〕

  • 全体としては、正しき人物に師事し(善知識への師事)、正法を聴聞し(聞)、それに心に正しく想いを寄せて(思)、仏法に則ったことを実践しようとする(修)、というこの四つが不可欠である。
  • 自分自身の感覚器官がさまざまに不注意な状態に散乱してしまわないように心がけ、律儀を出来得る限り行持していかなければならない。有情には常に慈愛を注ぎ、三宝を供養に精進してゆくこと、これがこのことによって帰依の所学を正しく身につけなければならない。
  • 在家戒に違反する殺人などの四業を為せば律儀が失われてしまうので、注意深く守る必要があり、人間以外の生物の殺してしまうなどの〔不殺生・不邪婬・不偸盗・不妄語・不飲酒〕五戒に対する違犯を為してしまった場合には、律を具足する者に対して懺悔しなければならず、両舌など〔不綺語・不悪口・不両舌・不慳貪・不瞋恚・不邪見などの十善戒のうちの〕その他の六不善もすべて同じ原理であるので、どんな場合にでも自ら律し戒体を正しく護持していかなければならない。

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