2021.03.13
ལམ་གཙོ་རྣམ་གསུམ་

根本の三道

ジェ・ツォンカパ・ロサンタクパ著
訳注:野村正次郎
[帰敬文]

至尊大師たちに頂礼します。

0
[礼賛]

勝者の教説すべての核心の目的

勝子たちに讃嘆されている道

賢劫の解脱を求める者たちの桟橋

私はこれらを出来る限り説明してみたい

1
[著作宣誓]

誰であれ今生の楽へと執われず

有暇具足を活かさんと勤める者

勝者を歓喜させる道へと心を決めた

賢劫者たちよ心平らかに聴聞せよ

2
[出離]

清浄な出離無くしては 生存の海の

楽果の期待を抑える術はない

生存に渇きを覚え肉体を取るものたちは

完全に束縛されているので まずは出離を探求せよ

3

暇とゆとりは得難く寿命も猶予はない

心に修習し長寿の望みなどは退ける

業果は欺かない輪廻の苦である

こう何度も考えると 来世への期待を退ける。

4

このように修習することにより 輪廻円満を

祈ろうとする心は一刹那たりとも起こらず

夜昼解脱を追い求める この意識が起こるなら

今この時出離が起ったことになる

5
[発心]

これも清浄心を起こしたことで

もたらされたものが無いのなら

無上菩提の究竟という常楽の因とはなせない

それ故智者は無上菩提心を起こすべきである

6

勢激しい四つの激流に流されてしまい

止まること難しい業の束縛により拘束されてしまい

我執という鉄の網に捕まってしまい

無明の大きな暗闇で隠されてしまっている

7

果てしなき生存に生まれ生まれ

三つの苦しみにより絶えず煩悶する

このような境涯になってしまった母たちの

気持ちを考えてみて最高の発心をお起こしなさい

8
[空性を理解する智慧について]

実相を理解する智慧をもたなければ

出離や菩提心をどれだけ修習しても

生存の根を絶ち切ることが出来ない

故に縁起なるものを理解する努力をするとよい

9

どのような人も輪廻から涅槃の一切法の

因果は決して欺かないことを思い

志向する対象のそのすべてが滅していく

仏を歓喜させるこの道へと入るがよい

10

現象たる縁起は欺かぬものであり

しかも何も承認できない空である

この二つの証解が別々に顕れる限り

未だ牟尼の密意を得たとはいえない

11

いつの日か交互にではなく時を等しくし

縁起が欺かぬと見ているその瞬間に

すべての偏見の習性を放棄できるなら

その時に思索の探究は完成するだろう

12

また顕現によって有辺を排除し

空である故に無辺を排除した空性が

因果として現成した真実を証解すれば

辺見に踊らされることはなくなるだろう

13
[廻向]

こうした三種の道の根本たる

この核心を私のように理解し

寂静処に座し精進力を起こし

永遠の目的を達成せんことを 子よ

14
[跋文]

以上これは沢山聴聞した比丘ロサンタクペーペルがツォコ・ガワンタクパに諭されたものである。すべてに幸あれ。