2021.05.18
སྟོན་པའི་མཛད་རྣམ་སྙིང་བསྡུས།

学友たちと過ごした日々

サカダワ大祭・仏伝の紹介:第7話 工作明などを学ばれた行状
訳・文:野村正次郎

仏教の指導者として活動するためには、少なくとも世間の学問に通じていることも極めて大切なことである。『大乗荘厳経論』では菩薩は内明・声明・因明・医明・工巧明よりなる五明に通じていなければ仏になれないと説いているし、この世に生まれてきたすべての人間が人間がこれまで築き上げてきた文明に敬意を払い、それを学ぼうとする、ということは極めて重要である。もちろん私たちが築き上げてきた文明には流行や衰退などもあるし、社会からは必要とされなくなり不要になっていくものもある。しかしながら何か新しいものを創造するためには、これまで私たちが何をやってきたのか、ということを知ることは非常に重要なことであり、新しいものというのは意外に極めて古い古典的なもののなかから創造されていくものである。

釈尊が誕生され母君の摩耶夫人は一週間後に亡くなられ、三十三天へと転生されるが、釈尊は摩耶夫人の妹の摩訶波闍波提(マハープラジャーパティ)をはじめとし様々な乳母や侍従たちに育てられていったが、七歳の時に戴冠した後、浄飯王は新しく学校をつくり、釈尊を教育しようとし、釈尊はすでに無数の前世からさまざまな学問を既にすべて習得していたにも関わらず、学校には一万人の男子学生と一万人の女子学生が同級生として集められ、ヴィシュヴァーミトラを先生として他の学生たちを利益するために釈尊も一緒に六十四種の文字の読み書き・六十四種類の数学や芸術、工作などのそれ以外すべての学問を学こととなった。

まずは六十四種の文字文字の学習であるが、これについては『方広大荘厳経』でも説かれているように、ブラーフミー文字、カローシュティ文字など現在確認できるものもあるが様々な文字を学び、それらを学ぶ時に他の学生と一緒に十二の母音と三十四の基本文字を一緒に発音し、発音以上の学生と「ア」と発音することで一切法は無常である、ということを語り、「アー」と語ることで無我であることを語り、順々に母音と父音を学んでいきながら、無数の法門を学生たちに開いて、三万二千人の子供たちが覚りを得るための下準備を作って行った。

また六十四の芸術を学習したが、これについては音楽や習字などにはじまり、宝石の鑑定法、ヴァーダ聖典の読誦法や夜中に泥棒が来たことをどうやって知るのか、といったことや植物学や鉱物学、天文学や暦学、論理学や弁証法から詩学まで様々な学問を学んでいき、それ以外にも大工仕事や地面の見立てかたや水泳などにいたるまでの様々な学者を学んで行った。

釈尊は既に様々な学問に通達していたので文字を習う時でも先生たちが知らない文字までもこんな文字がありますよね、と教えながら他の学生たちと一緒に学んでゆき、数学を学ぶときも過去に誰も聞いたことのないような数の数え方まで既に知っていたし、原子算定法はこうではないですか、と先生にも示しながら三千大千世界のすべての原子の数を計算する方法を提示するなど、釈尊が学問を学んでいく過程は、他の数万人の学生たちに素晴らしい良い影響を与えるだけではなく、学習指導にあたる教師たちにとっても、非常に貴重な学びの場となったのである。

これはいまの学校教育でも同じであるが、学びの場には優秀な学生がひとりいるだけで、多くの生徒たちの素晴らしいいい影響を与える。これと同じように釈尊と一緒に学んだ学生やその学びの場に関わった教師たちをはじめすべての人に大変素晴らしい影響を与えた。これが釈尊の学生生活であり、すべての仏教徒は学校で何かを学ぶときも、自分だけが成績優秀になりたいといった自己中心的な考えを捨て、一緒に学ぶ仲間のすべてがよりよい人間になれるようにと思いつつ学生生活を送ることが望ましいのであり、そのような教育こそが明るい希望に満ちた未来をつくっていくのである。

文字や書法を学ばれる釈尊と学友
水泳を学ばれる釈尊と学友
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