2016.02.06

ダライ・ラマ法王より新年のご挨拶「ロサル・タシデレー」(新年は吉祥でおめでたく、楽であり善でありますように)

アメリカのミネソタ州で療養中のダライ・ラマ法王からのビデオメッセージが公開されていますので、以下の通り日本語訳しました。

私はいま前立腺の予防治療のために療養しています。

今日はチベット本土に住んでおられる僧俗を問わず老若男女のみなさま、また同時に亡命社会に住んでおられるチベット人の僧俗を問わず老若男女のみなさまに、いまちょうど新年を迎えようとしておりますので、みなさまに「タシデレー」と申し上げたいと思います。

このように申し上げたいことの理由のひとつとして、このところこうして入院するためにここに参りましたことで、チベット内外の不動の信心と三摩耶を本当に多くのみなさまが長寿祈願の法要をなさってくださり、そうしようという動きがありました。このようなことがありましたので、まずはみなさまにお礼を申し上げたいと思います。

今日みなさまにこうしてお目にかかりご挨拶を申上げると同時に伝えたいのは、「私はとても元気でここにいます」ということです。このいまの治療は継続して少し時間がかかるものですが、毎日数分で終わるものですし、特に大きな問題があるものではまったくありません。

こうしていまはのんびりと過ごし、ちょうどお休みをしているようなものです。朝晩には日課の勤行を行い、そしてその間の時間では経典を紐解いて過ごしています。みなさん決してご心配なさらないでください。

そしていつも新年には「ロサル・タシデレー」(新年おめでとうございます)という伝統があります。「ロサル・タシデレー」というのは、チェマを食べたり、チャン(酒)を飲んだり、賭け事をするってことではありません。

「タシ」(吉祥)というのは、『文殊師利名称経』のなかでは「すべての吉祥なるものなかでも最も吉祥なるもの・・・」と説かれていますように、「タシ」(吉祥)というのは、こういうことです。

私たちはみんな幸せを望み、苦しみを望んでいません。ですから幸せの原因となるもの、それは利益をもたらし、幸福を実現するものであるからこそ、それを「タシ」(吉祥・めでたいもの)と呼ぶのです。こうした幸せや楽しいことをもたらせてくれる原因となるもの、つまり善なることを実現するのならば、人はそれぞれその人生を利他の心、他人を傷つけない心、そう言った心を持ち人生を過ごすのであれば、その人の人生は「タシ」(吉祥・めでたいもの)となるのです。

そのような「タシ」である原因と条件によって、その結果である「タシ」(吉祥・めでたいもの)は「デレー」(楽であり善である)といい、その「デ」(楽・幸福)とは、その場での幸福を意味しており、「レー」(善)というのは、「決定勝」つまりブッダの境地のことなのであり、仏教で説かれているのはこのようなことなのです。

ですので、私はみなさまに「ロサル・タシデレー」(新年は吉祥でおめでたく、楽であり善でありますように)と申し上げるのと同時に、私たちは「タシデレー」という言葉が、その言葉の表現している意味に相応しいものにできるようにしてください、と申し上げたいと思います。

この病院のスタッフの全員がとてもよくしてくださいますし、真摯に取り組んでくださっていますので、私はとてものんびり過ごすことができております。私自身がのんびりとゆったりとした気持ちで過ごしていますので、ここで誰に会っても笑顔が満ちています。このように過ごしていることをみなさまにお伝えしたいと思いました。

また同時に、チベット人ではありませんが、世界中に私の友人知人のみなさまがおられます。信仰を持っている人も持っていない人もいらっしゃいます。また科学者の中にもたくさんおられます。また本当に小さなお子さんからもお見舞いのお手紙をいただきました。こうしてお見舞いをしてくださったすべてのみなさまに、心より御礼申し上げます。みなさまが私のためにお祈りをしてくださり、様々に動いてくださいました。とても嬉しく思いました。本当にどうもありがとうございました。

出典

Tibetan New Year’s Message from His Holiness the Dalai Lama
http://dalailama.com/webcasts/post/353-tibetan-new-years-message-from-his-holiness-the-dalai-lama
Rochester, Minnesota, USA on February 4, 2016.


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