悪行を何もなさず


作成日: 2010-10-23 最終更新日: 2016-09-16 作成:LOBSANG DROLMA

インド北部、ダラムサラの中心、ダライ・ラマ法王のお住まいのあるツクラカン。ある日、ツクラカンに参拝にいき、本尊の前にカターを捧げていると肩をたたく人がいる。なんだろうと思って顔をあげると、同じく参拝にきていたチベット人の女の子だった。彼女はにっこり笑って、仏像の右上の小さな黒板を指さした。そこには、

ディクパ・チヤン・ミチャーシン
ゲーワ・プンスム・ツォーパルチェー
ランギ・セムニ・ヨンスドゥル
ディニ・サンゲー・テンパイン

とチベット語と英語で記されていた。

「それ唱えるといいよ」

そう言って彼女自身手を合わせ、その経文を三度唱えてお堂を出て行った。

悪行を何もなさず
善行を普く行じ
自らの心を統御すること
これが諸仏の教えである

この経文は「私家本 道次第論法話会読誦次第 暫定版テキスト」にもちゃんと載っている。

とても良いことを教えてもらったなと思い、ゲンギャウさんにこのことを話すと、

「はい、それはとってもいい言葉です。紙に書いて机にはっておいてください。毎日唱えてください」

と課題を出された。

僧侶の方々は、日々たくさんの経をあげられる。皆いままで受けてきた灌頂などが違うので、日々あげるべき経も違う。龍蔵院でも、午前中は自分の読むべき経を各自あげられる。それが午前中で終わらないときは、夜にその続きをする。だが、日々の生活に追われる私たちは、僧侶の方々のようにたくさんの経を読むことは難しい。

だからゲンギャウさんは、

「たくさんのお経を読まなくていいです。たくさん過ぎて、途中でやめてしまったら、そっちの方がかえってよくない。だから、短いものを毎日読んでください」

とおっしゃっていた。
多く膨大な数の経たち。それらの意味を全て一度に理解することはできないから、せめて一言一言を噛みしめて。