2026.03.02
ཆོ་འཕྲུལ་བསྟོད་པ་རྒྱ་ཚེན་ཚོགས་གཉིས་མ།

明日の神変大祭の満月を積善浄罪で迎えるために

神変祈願大祭縁起:パンチェン・ロサン・チューキ・ゲルツェン『神変礼讃』を読む(7)
パンチェン・ロサン・チューキ・ゲルツェン/編訳:野村正次郎

十四日は優填王が盛大に供養した

散華からは巨大な宝石で出来た

千二百五十の車を化現なされた

三界を荘厳なされた君を礼拝する

18

十五日は頻婆娑羅が善資を奉じた

すべての者を天の甘露で満たされ

御指先から黄金の光線を放たれて

地獄を善趣へ導かれた君を礼拝する

19

かくも殊勝で無量の神変を示現され

暗黒勢すべてを降伏され無量の衆生を

善趣へと解き放たれ無上正等覚の道へ

確実に歩むようになされた君を礼拝する

20

ここに述べた釈尊の偉大な功徳の

宝山の頂から神変を示現される行状の

その僅か一部を語ったという本善業が

衆生利益のため一切知の因たらんことを

21

以上は、タシルンポ僧院の銀塔堂にて神変宝行状図を造営さんとする時、稀代の妙筆・チュージェ・ロサン・チューペル絵師師弟および、十難処にて善資積集するレクパ・チュージョルの両名からの委嘱を受け、最勝教主釈尊の跡を追う釈比丘ロサン・チューキ・ゲルツェンがタシルンポ僧院の寝所にて滞りなく編んだものである。

チベット暦正月十四日は、二日にも施主となったカウシャンビー(憍賞弥国)から参加したウダヤナ王(優填王)が再び施主となった。彼が散華するとそれらは梵天界に到達するほどの巨大な宝石で荘厳された二千五百台の車になり、その一台一台に仏が化現して、光明が放たれて三千大千世界が照らされてすべての者がそれを眼にすることができた。

翌正月十五日の満月の日は、布薩日でもあり、この神変示現の発端ともなった王舎城の頻婆娑羅王が施主となり善資を供養した。釈尊は事前に観客全員に食器を準備されるように伝えられたので、一同はみな食器を持参したら、その大量の食器のなかに百味よりなる美味なる飯食を瞬時に化現なされた。集まった者たちの全員がその美食を思う存分楽しむことができ、釈尊が授けてくださったその美食をいただくとすべての人が心身ともに心安らかで幸せな気持ちに自然となったのである。

釈尊はそこで御指を地面に触れられたら、地獄十八界の者たちがそこに全員現れた。無数の地獄の衆生たちは「私たちはいまこのような苦しみに悶えています」と証言したので、そこに集った観客もすべてその事情を詳しく聴くこととなり、地獄の苦しみが如何に悲惨なものなのか、地獄に生まれる罪業から自らを律することが如何に大切であるのか、ということを実感することができた。

彼らの全員が釈尊の仏前でそのことを耳にし、釈尊が放つ光明を地獄の衆生たちは浴びることが出来たことで、その激痛は癒え、釈尊の説法を聴聞し、天人へとそのまま転生することが出来た。集まったその他のものたちも少しでも善業を行うことが如何に大切なことであり、罪業は何としてでも控え自らを律しないといけないということを改めて心にすることが出来た。その結果、菩提心を起こした者、果を得た者、天人へと生まれる善根を起こした者たちが無数に現れることとなった。

以上正月元日から二週間、明日の満月の日までにかけて釈尊は、毎日異なる施主が供養をし、舎衛城の大神変会場にて一同の面前にて様々な神変を化現なされた。神々たちや人間たちは、その釈尊の起こされた数々の神変を記憶にしっかりと刻み、仏道を歩む自分たちの決意を決して忘れることがないように、その地に法塔を建立した。

明日2026年3月3日の満月の日には、日本でも夜8時から9時頃までは赤く光る皆既月食が見られるとのことであり、次の皆既月食は2029年1月1日まで日本では見ることが出来ないとのことであるので、明日がここ数年で特別な一日であることは、こうした釈尊の舎衛城の神変を追想せずとも広く知られているようである。

私たち仏教徒で特にインド・チベットの伝統仏教に縁のある方々は、明日は夜明け前から精進潔斎し、仏前にて輪廻の苦海から解脱するために、これから一日は不殺生・不偸盗・不婬戒・不妄語・不飲酒・不得過日中食(午後以降翌朝まで食事を取らない)、・不得歌舞作楽塗身香油(歌を歌い、音楽を聞き舞踏をしたり観劇をしたり、身体に過度な香水や化粧や宝飾品で身を飾らない)・不得坐高広大床(手先から肘までの高さ以上の寝床に寝ない)といった八斎戒を守ろうと宣言し、そのまま翌朝まで過ごすことで、在家戒・出家戒を授かっている人は、その戒体を復興することが出来る。これまで灌頂などを受ける際に菩薩戒を授かっている人は、明日の朝は仏前にて、如来や菩薩たちと同じように、自分も一切衆生を利益するために仏位を求めようとする菩提心の決意を新たにし、さらに自分自身でも六波羅蜜や四摂事といった菩薩行を実践しよう、自分の周りの人がそれを実践するようにしよう、それが出来なくてもせめて実践している人々を随喜しようと心を新たにし、大乗布薩の日とすることができる。

明日はガンデン大僧院で非常に多くの職集が結集し、ゲンギャウ師ほか、弊会でもご縁を頂き日本にも来られたことのあるゴマン学堂の僧侶の方々が一日私たちと共に釈尊の偉大なる神変示現を追想して、無量の供養を行なっていただく予定である。インドにあるチベット難民の僧院のすべて、チベット本土で圧政に苦しみながら仏法を護持している僧俗のすべて、チベットでジェ・ツォンカパ大師がはじめられた神変祈願大祭の伝統を継承しているモンゴル、ロシアの各地域をはじめ、アメリカやヨーロッパでも明日は釈尊の神変示現を追想して、世界各地で一年の中で最も大切な祈りの一日が過ごされる。本サイトの読者の方々はもちろん、様々なご縁のあるすべての方々が心をひとつにして、明日が一年で最も有意義な菩薩の積善浄罪の一日となることを願ってやまない。

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