法王法話:釈尊の教えを大切にしよう


作成日: 2009-08-20 最終更新日: 2009-08-20 作成:事務局

『ダライ・ラマ法王 Teaching in 広島 2006 公式伝授録』より紹介します。

「仏教」とか「仏法」とは一体何でしょうか。

「仏法」というときの「法」とは、究極的には“すべての苦しみと煩悩を克服した境地”である「涅槃」のことを指しています。ですから「仏法」とは「涅槃を実現するための方法」つまり「道諦」すなわち“空性を理解する智慧”と“涅槃を追求する心”のことです。ですから「仏法」とは何か、と聞かれたらすぐに釈尊の説かれた「四諦」等をイメージできなくてはいけません。

「仏教」という言葉を聞いた時にお寺や仏殿などをイメージしているようでは駄目なのです。「仏教」と言う言葉を聞いた時には、釈尊が説かれた四聖諦などがイメージできないようではいけません。律に関する書物のなかにサガラ尊者の『律華鬘相続』というのがあります。そこにはこのように説かれています。

禅定や読経などの行為に身体を活用すべきである。糞掃衣を着ただけで良しと思うべきではない。

これは、座禅をし瞑想したり、仏典を読んだり、教義を学習したりすること、精神を集中して観想したり、経典を声に出して唱えて学習することによって人間に生まれてきたことを活用しなくてはならないのです。これが仏教徒にとっての人生の意味です。そうではなく糞掃衣の袈裟を着るだけ、つまりお坊さんになるだけで、良しとしてはいけない、そう説かれているのです。これがインドの偉大な尊者の言葉です。サガラは阿羅漢尊者の一人に数えられるとても立派な人物です。

この話はいつも私がチベット人には説いているものですが、日本の法友のみなさまにとっても同じことが言えるのではないでしょうか。

たとえば私たちはみないつも仏法の興隆を祈っていますよね。みなさんはどうでしょうか。日頃仏法の興隆を祈っていますか。もしかして、仏法の興隆を祈るんじゃなくて、金持ちになれますようにと祈っているんじゃないですよね。もちろんこんな質問はお寺の財政を管理しなくてはならない住職さんたちには聞きませんよ。一般の方に聞いてるんです。

もしみなさんが仏法の興隆を祈っているのでしたら、その前にまず「仏法とは何か」これをきちんと知っている必要があります。

ヴァスバンドゥ(世親)は

釈尊の正法には二種ある。教と証とを本質としている。

と『倶舎論』のなかで説いています。これは釈尊の説かれた法には、「聖教法」(言葉で語られた教え)と「証解法」(その言葉の内容を実践することで得られる境地)との二つが有るということです。そしてその二つを護って弘めることについては、続けてこう説かれます。

それを護るとは 、それを語り、それを成就するのみである

これは聖教法と証得法を実践し、護って弘めていく、というこのことは「それを語り」つまり仏法を説明し、他人に教えて、人を指導すること、つまり教育することです。聖教を護るとは「教育する」ことです。また証解法を護ることは証解とは、戒・定・慧の三学のことですので「実践する」ということです。そして最後の「のみである」という表現は、ここでは他には可能性が無いことを意味しています。つまり聖教と証得とを護持弘法するためには、「学習し、教育し、実践する」これ以外には何もできないのであり、寺院や仏殿を新築したり、格好良く荘厳しても無駄だということです。

この話を私はいつもチベット人に話しています。チベット人たちはそういうことに熱心で、大事な経典の学習や、教義の実践を怠ったりする傾向にあります。ヒマラヤ地方のチベット仏教徒は大体そうですし、我々亡命チベット人でも寺院建立に熱心ですよね。しかしながら、教理の実践に熱心になるよりも、俗世の仕事に熱心じゃだめですね。

私たちは釈尊の弟子です。このことを考えますと、みなさん日本人の方は、中国から仏教を輸入されていますので、仏弟子としては我々の先輩ということになりますよね。中国に仏教が伝来したのは我々のチベットに伝来したのよりも大分前になります。私たちチベット人はみなさん日本人の後輩ということになります。後輩である私たちチベット人は苦難の時代に生きています。みなさんは先輩なのです。ですからみなさま先輩方が、しっかりと仏法の教証を護持して弘法なされるますようにお願い申し上げます。そして今日は中国の方も多く来られています。中国の方々も私たちの先輩です。皆さんもどうかよろしくお願いします。そして韓国人の皆さんも先輩ということになります。

私たち後輩であるチベット人は手を合わせてお願いしたいと思います。先輩方どうぞしっかりと、よろしくお願いします。仏の教えには民族が何かなんて関係ありません。私たち仏教国の人すべてに仏教を守っていくための責任があると思います。 (DVDエピソード4より)