
弊会で行っている定例法話会では、ジェ・ツォンカパ大師の根本聖典である『菩提道次第広論』を読み進めながら、仏教の基本的な実践法を学んでおりますが、それと並行して、仏教および仏教以外の思想の全体像を知るために、弊会発足時よりクンケン・ジクメワンポ(1728-1791)が1773年に著した『学説規定摩尼宝蔓』を学んできました。『学説規定摩尼宝蔓』は弊会の教科書として2000年に和訳をはじめて日本で公開して以来、長年ゴマン学堂のゲシェーの先生たちによって講義のテキストとして使用しながら、修正・改訂を繰り返し、4半世紀を経て、昨年2025にゴペル・リンポチェにより数年かけて講義を終えることが出来ました。
クンケン・ジクメワンポの『学説規定摩尼宝蔓』は、現在デプン・ゴマン学堂での教科書のひとつとして使用されている他、広く在俗の高等学校の教科書にも収録されており、ナーランダー僧院の伝統に基づいた標準的なインド仏教哲学の概要を知るために使用されていますが、本来このテキストはクンケン・ジクメワンポの先代のクンケン・ジャムヤンシェーパ(1648-1721)の『学説本頌』ならびに同本頌の大部の自注である『学説大論』の要約版であり、あくまでも暗唱するのに適したテキストとして編纂されたものであり、本来はクンケン・ジャムヤンシェーパの『学説本頌』こそが現在デプン・ゴマン学堂およびその系列の僧院における根本聖典として位置付けられています。
クンケン・ジャムヤンシェーパは、チベット・ラサのデプン・ゴマン学堂の裏山のゲペル山麓の行場にて42歳の時(1689年)に割注を含む『学説本頌』を完成させ、本偈を完成したのと同時に新たに同書に対する自注の執筆依頼、良質な執筆用紙300枚の寄進を受け、自らの手で本偈に対する自注の冒頭部分からの執筆を開始し、48歳(1695年)の時、大部の論書である『中観大論』を完成させつつも、さらなる『学説本頌』の改訂を行い、最終的に52歳、1699年の正月十五日までの約10年間もの月日を費やして『学説大論』を完成させました。
クンケン・ジャムヤンシェーパは、21歳の時に故郷アムドを離れ、デプン・ゴマン学堂へと入門し基礎学を学びはじめ、翌年22歳の時『現観荘厳論本頌』・『入中論本頌』の暗誦を開始すると同時に、特にダライ・ラマ2世ゲンドゥン・ギャツォ(1475-1542)の『学説大海航行論』(東北蔵外 No.5573)を暗誦したという記述を自伝のなかで述べており、このダライ・ラマ2世の学説綱要書は分量もそれほど多くなく、暗誦するのにも最適であることもあり、2026年4月からはこのテキストを読み進めながら、以前学んできたことも復習しながら進めていきたいと思います。
本年のダライ・ラマ14世法王猊下の91歳のお誕生日の卒寿奉祝の一環として、世界各地でダライ・ラマ法王の教えを学ぶキャンペーンを行っており、このたびデプン座主に法王猊下がご就任なされたこと、日本にはこれまで何度も法王猊下はいらっしゃって様々に大切な教えを教えてくださったこと、特に今年はちょうど20年前の2006年には広島にいらっしゃり両部曼荼羅の伝法灌頂を行っていただいた節目の年でもあることといったことを複合的に考慮し、このたび2026年4月12日(日)の定例法話会から『学説大海航行論』(東北蔵外 No.5573)をみなさまと共に学んでいきたいと存じます。




