今月は25日まで釈尊の降誕・成道・涅槃を記念するチベット暦4月(サカダワ)が続いております。日本別院では、チベット暦4月8日から本格的な法要や行事がはじまり、4月8日から15日までは善業の積集のため日々の行事が行われました。
まずは6月3日には毎月恒例の三宝と緑多羅菩薩を道場にお迎えし、曼荼羅を4回供養する法要が行われ、続く4日にはゴマン学堂の護法尊である大黒天を中心とする護法尊の供養をゴペル・リンポチェが修法なされました。
それに引き続き4月7日には、在家戒・菩薩戒についての解説を行う特別法話会が行われ、リンポチェからは在家戒・菩薩戒にはどのくらいの功徳があるのか、守るべき項目にはどのようなものがあるのか、ということについて解説して頂きました。法話会のなかでは、常に十善を行うことの大切さ、五戒を守って暮らすことのメリットについて紹介があり、また菩薩戒が失われてしまう十八根本堕罪や四纏についての解説を、ジェ・ツォンカパ大師の高弟で第3代ガンデン座主ケードゥプジェ・ゲレクペルサンポの『三律儀分別・牟尼教清掃』に基づいて行っていただきました。
チベット暦の4月14日の朝には、久しぶりに日本別院で授戒会が開檀され、在家戒・菩薩戒をゴペル・リンポチェがみなさまにお授けになられました。授戒会では在家の戒律を授かられた方々には、リンポチェの比丘名「ロサン・ツォクニー」の名前のうちの「ロサン・〇〇〇」という戒名を希望される方も多数おられたので、受者の方々は、「私は、某甲と申す者は、今この時から生きているその限り、両足の者のなかの最勝者、仏宝を帰依申し上げます。離貪の最勝のもの、法宝を帰依申し上げます。会衆のなかでも最勝の会衆を帰依申し上げます。私が生きているその限り、優婆塞として、師僧よ、ご領承ください。」「五戒を阿羅漢の聖衆たちが学んだものに従って学びます。彼らに従って実践し、実行します。」と三帰五戒受持を宣言する文章をチベット語で唱和し、在家五戒を護持して暮らす釈尊の正式なお弟子となられました。
また菩薩戒の伝授では、「私、某甲と申す者は、今生・その他の世世代代いままで、布施を自性とするもの、戒を自性とするもの、修習を自性とする善業を私は為し、為させ、為すのを随喜してきました。その善業で、過去に如来・応供・正等覚・仏の方々、そして高い地に円満に住し給われる菩薩衆たちがかつて無上正等覚へと発心なされたのと同様、大無上正等覚へと発心いたします。」と願心の菩提心を発心し、「いまこの時からはじめて菩提の心髄へと至ることができるその時まで、無上正等覚へと発心して、十八根本堕罪・四十六悪作などの菩薩律儀を拝受して、六波羅蜜・四摂事といった広大な菩薩行を学んでゆき、すべての有情を利益するために、私は菩提に至るまで堅持いたします。」と行心の菩提心を発心し、正式に菩薩戒を授かりました。
翌チベット暦の4月15日(6月11日)の夜明け前の朝4:30からは大乗布薩戒の授戒式が行われ、早朝にも関わらず、有志の方々は、「いまこの時から、明日の日の出までの間、一切衆生を利益するために、役立つことをするために、解脱させるために、飢餓をなくすために、無病とさせるために、菩提分の諸法を円満なものとするために、無上正等覚を必ず証解するために、積善浄罪たる布薩を正しく実践します。」と仏前にて宣言し、「釈尊の教えを実践することを通じて供養する」という無量の功徳を積集されました。それに続き10:00からは日本別院では釈尊の讃をはじめ、『般若心経』、『華厳経』普賢行願讃、『月灯三昧王経』「教法燦然偈」などを読誦し、昼食は受者のみなさまとインドの精進料理を一緒にたべ、午後からも本堂で真言念住をされるなど、夜明けから翌日の夜明けまで清浄なる戒律をみなさんで護持し、素晴らしい1日を過ごすことができました。
このようにサカダワの第二週目から最も聖なる日である15日まで、今年も教法と衆生のために日本別院でも活動が無事に成満しましたことは、参加者のみなさまの不動の浄信と施主の方々の善資の賜物に他なりません。ここに報告させて頂き、みなさまの善業を無上正等覚へと廻向しますとともに、6月25日のサカダワの最終日まで引き続き、みなさまと共に積善浄財に励み、福徳が広大なものとなるようお祈り申し上げます。






