作成日: 2016-09-17 最終更新日: 2016-10-21 作成:事務局

【師が直ちにご帰還なさることを願って憐れみの心を私達に向けて頂くよう促す悲痛の声の調べ】

GenLobsang

原初より清らかな法界という大海原の只中
智慧と慈しみという波の渦巻く最高の覚りを得たお方(仏陀)が
素晴らしく説かれた最高の教法が、僧の集まり(僧伽)が
中でも至高の帰依処であられる、蓮華を手にするお方(観自在菩薩)が私達をお救い下さいますように。

崇高な心ロサンを抱く勝者の伝統を守る唯一無二の後継者であり
浄戒ツルテイムという黄金の土台の上に多聞という階段を築き
繁栄(増上生)をもたらす二つの道である太陽と月の光を具える
かの至高の導き手が、光り輝く世界から私達のことをお考え下さいますように。

あなたは三密の振る舞いという微々たる欠片で
私達の願いという庫の中を一杯にし
牟尼の教え(仏説)という春の栄華をとどめながら
突如として離れて行きました。この悲しみにどうして耐えられましょうか。

雪山チベットを守る唯一の神である、蓮華を手にするお方(観自在菩薩)の
教法と衆生を利益しようとなさる意志という麓を
取り残すことなく力強く両肩の上に担ぎながら
寂静の境地へと入ってしまうことは決してできないはずです。

希望を託した導き手のことを一心に思い
やつれきった私達が荒野で疲れながら
孤独に彷徨う幼子のようになり果てたこの有様を
憐れみの眼で見捨てることにあなたは耐えられないでしょう。

教法を護持する者達はおおかた見えない境地へと去ってしまい
法に外れた行ないをする人々の群れが日増しに膨れ上がる中
教法の栄光が今にも没しようとしている日の残光しか
差し込まないこの有様を見ればあなたは心を傷めることでしょう。

しかし、そうであっても至高の者達の本性として
憐れみゆえに教法と衆生を見捨てることはありませんので
発心という東の山の両肩から
化身という朝日の光を届けて下さいますように。

輪廻世界という恐ろしい断崖の縁を進む
私達のこのような悲嘆の思いについてどうかお考えになり
至高の化身という朝日の微笑みという光で
信心深い私達の蓮華を幾百もの微笑みでほころばせて下さい。

崇高な心ロサンを持つお方の素晴らしい教えという海からお生まれになる
転生者という驚くべき薬草の樹が
三密の芳しい香りを諸方に漂わせることによって
教法と衆生を守り助力してくれる存在となって下さいますように。

裏切ることのない最高の帰依処のご加護と
清らかな法界という真実と
私達のなし得る最高の信心の清らかな力で
法に則った祈願が望み通りに成就しますように。

本書は、私達の最高の教師であり、その恩恵は世界の隅々にまで及ぶお方、もしお名前でお呼びするならば、かの尊きロサン・ツルティム足下という瑞光に包まれたお方が、寂静の境地に向かわれた時、師に篤い信仰を寄せる幾人ものお弟子様からの要請があったこと、また、私自身も年少の頃よりかの尊き最高の師のおかげで、あたかも母親が一人息子に対してするように、慈しみの心で育む憐れみのお気持ち一つで、一人前になることができたという恩恵を幾度も思い巡らしたことを契機として、かの恩恵深く尊きラマの弟子の末席に連なる、クンデリン・タツァク・ジェドゥン化身の名を頂き、テンジン・チューキ・ギェルツェンと称する者が、チベット暦火猿(丙申)年四月(サカダワ)四日、西暦2016年5月10日に、激しい悲痛に打ちのめされながら祈願文として記したものである。

翻訳:根本裕史