2010.01.12

心をこめた寺院巡礼とは

参拝の準備

【動機が大事】
私たちの人生のなかではさまざまなシーンで寺院を参拝する機会があります。その時に最も大事なことは「一体何のためにお寺に参拝するのか」ということです。一般的に寺院を参拝するのは“善い行い”です。しかしその行為が“善い行い”となるのには、まずは正しい動機をもつことがもっとも重要なのです。

【正しい動機とは】
お寺は宗教施設です。たまたまそこに有名なお寺があるとか、文化財があるからお寺をお参りするのは、そのお参りの効果は殆どありません。まずは私たちがいまこの生きて恵まれている環境に感謝し、自らが死んだ後にも再びこうした恵まれた環境に生まれることができることを願う気持ちが大切です。更に深く考えれば、この世にいるすべての生きものは様々な苦悩を味わっています。ですので彼らをはじめとし、家族や友人に亡くなった方だけではなく、この世のすべての生きとし生けるものたちのこれからお参りしようと決意します。

【供物の準備】
どんな小さなものでも構いませんが、お供えは、必ずもっていくことにしましょう。チベット人であれば、本尊にお供えする「カタ」(白い布)や灯明に使うバター、ロウソク(または灯明料)は最低限もっていくようにしましょう。できれば線香や果物などを持って行くといいです。もちろんお供えはお寺の近く近くなどでも売っていることもありますが、自分で準備していく方が功徳が高いと言われています。

本堂の参拝

【門や御堂に入る前に一礼】
お寺の門や御堂に入るときには、まずは合掌して一礼します。なぜならば、そこから先は聖なる空間だからです。人の部屋に入る時にはノックして入るのと同じように敬意をもって中に進むことが大事です。

【そこには本物の仏さまたちが居られるとイメージする】

お寺の門や御堂に入ってからは、単なる彫刻や絵画ではなく、そこに本物の仏様たちが無数に居られるとイメージすることが大切です。また仏様をえり好みするのはよくないことです。そのイメージができるようになるまで心を落ち着かせることも大事です。

【まずは御本尊を礼拝します】
誰かの家にいったら、まずはその家の中心となる人物に御挨拶をするように、まず御本尊をお参りするように心がけましょう。この時にも単に体で合掌礼拝するだけではなく、心と体の両方で礼拝することが大事です。お供え物もまずは御本尊からお供えします。

【お供えの心得】
お供えは、プレゼントと同じです。相手に喜んでいただくことが大切です。どんな小さなお供えでも気持ちをこめて仏さまたちが喜んでいただけるように気持ちをもってお供えしましょう。また御賽銭をする時にはケチケチした気持ちは絶対に起こしてはいけません。もしケチケチすれば何もしないことと同じになってしまいますので、気をつけましょう。またお供えをしたら、そこに居られる仏さまたちが喜んで頂いたと思いましょう。

【罪を反省し懺悔する】

私たちの日常生活は仏教的に言えば悪いことばかりやってます。家族や同僚に冷たく当ったり、他人に嫉妬したり、人の悪口をいったり、仏さまの教えに反した生活ばかりしています。まずはそういう自分を反省します。自分の常日頃の罪を心に思い浮かべ、いまここに居られる仏さまたちの前で悔いて、もう今後はしません、とそこに居られる仏さまたちに誓います。今日からは別人のように生きようと誓うことが大事です。

【祈願をする】

罪を悔いたらあなたの心も体もは少しキレイになっているはずです。そこで自分が仏さまに願いごとをお願いしましょう。お経を唱え、真言を唱え、写経をしたり、お堂のなかや境内のなかを右回りに参拝して回るのもこのタイミングです。仏さまたちにお願いする時のポイントは二つあります。それは「善いことをお願いする」ということと「より多くの人のためになることを目指してお願いすること」です。たとえば“あの人をやっつけたい”といった悪いお願いはだめです。そんなお願いをするは間違ってます。また“自分だけ大金持ちになって楽をしたい”というのもよくありません。自分のお願いごとは、そのことが実現することによって“より多くの人の役に立ち、より多くの人が幸せになりますように”とお願いしましょう。

【廻向する】

お祈りが終わったらいま行った自分の善い行いが、より多くの人に役立ちますようにとお祈りします。これを仏教では“廻向”と呼んでます。

僧侶に接する

【まずは合掌して接しましょう】

僧侶の方々は私たちが仏教の教えを実践し幸せを得るための手助けをしてくださる看護師のような存在です。僧侶の方たちは私たちにはできない厳しい修行や戒律を守ったり、難しい仏典を勉強されています。私たちは仏教徒である限り、この目の前に居られる僧侶の人はただの人間ではなく、仏さまたちの使者だと思い、敬意をもって合掌し接することが大事です。決して僧侶の方たちを“かっこいい男”とか“不細工な男”とか思ってはいけません。そもそも僧侶でなくても、どんな人でもその人を見た目で判断するのは間違っています。

【僧侶の方にもお供えをしましょう】

ご本尊にお供えをするのと同様に僧侶の方たちにもお供えをすることが大事です。その時にも目の前に居る人が単なる単なる人間なのではなく、仏さまの教えに仕え、私たちの代わりに実践してくださっている方だとイメージし、感謝と敬意をもってお供えをすることが大事です。

【仏教のお話をしましょう】

僧侶の方たちと話をするときにも、「善いお話」をすることが大事です。世間話や人の悪口や自分勝手な悩み事ごとばかり話すのは控えるべきです。お祈りをする時と同時に、自分のためだけではなく、より多くの人に役立つためにはどうしたらいいのか、仏教をどのように実践したらいいのか、などといったことを話題の中心にすることが大事です。そして僧侶の方たちからアドバイスや教えを聞いた時には感謝して、それを日々実践するよう努力しましょう。

家路にて

【帰る前に感謝の気持ちを起こす】

お参りをし帰る前には、今日はここにお参りさせて頂き、善業を積めたことを感謝しましょう。そして自分が善業を積めて今日はとても素晴らしい日だったと喜ぶことが大事です。

【帰る時には身も心も別人になっている】

帰り道にはあなたはいままでの罪深い人間ではなく、自分の体も心もきれいになり、より人にやさしい、愛情あふれた、まったくの別人になったと思うことが大事です。そして別人になったので、家に帰った後からはいままで冷たく当たっていた家族や友達や同僚たちにも今後はもっとやさしく接しようと強く心に決意をすることが大切です。

【家に帰ってからもそれを忘れない】

そのような別人になって家に帰ってからもそのことを忘れないように何度も思い出すことが大事です。そして、毎日一歩ずつ人間として善い方向へと進歩するように心がけましょう。

【寝る前に思いだしてチェックする】

参拝を終えた一日の終わり、つまり眠る前に自分の今日の一日はどうだったのか、ここが良かった、あそこが悪かった、それをチェックしましょう。よい部分がある時は素直に自分をほめることも大事です。そして悪い部分がある時は、明日からはそれをしないように決意したまま眠りましょう。

【朝起きて一日をはじめる前に】

次の日の朝、昨日のことを思いだしてから外出しましょう。今日は昨日とは違うよりよい人間として振る舞えるよう努力しましょう。


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