2011.04.20

足るを知る

社会学の先生と話していて、社会福祉は人間の生活条件を整えることによって、人々の間にある貧困を無くそうのする取り組みだと初めて知った。社会的条件。それは人が生活を生きてゆく上でとても大切なことに違いない。
だが、社会的な条件だけで、果たして人は本当に幸せになれるのだろうか。

ある日のゲンチャンパとの話の中で、

「よく法王も話されるが、肉体的な苦しみと精神的な苦しみ、どちらも苦しいが、精神的な苦しみの方が苦しい。そして、精神的な苦しみは物質的なもので補うことはできない」

と話しておられた。

チベット語には「知足」という言葉がある。
世界の中で誰が一番幸せか。それは足ることを知っている人である。

仏教がいま社会に何か働きかけることができるとするならば、それは人々の内面的なものに対してだと思う。それはきっと仏教が社会福祉の問題を直接取り扱わないのと同じように、社会福祉には取り扱えない問題だ。


        アムドのロウォン寺で東日本大震災の特別法要が行われた

今日の日本の中で、仏教は果たしてどのような役割を担い得るのだろうか。

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