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デルゲ版「チベット大蔵経論疏部」の因明部は、これまでの自分自身が一切智を得るための内明処ではなく、他者の間違った見解を訂正させることを主たる目的としている、外明処に帰属するもののうち、まずは正しい論証因と認識を明らかにする因明処を教示する印度撰述の論疏が収録されています。
冒頭は『集量論本頌』(量経)ならびに自註ほかの陳那菩薩の著作にはじまり、引き続き法称菩薩の『量評釈』とその自注、『量決択』、『正理滴』、『因滴』、『相続観察』『諍正理』、『他相続成就』、といった量七部論をはじめ、それらの註釈群や『真実綱要偈』『真実綱要註疏』など所謂「仏教認識論・仏教論理学」と呼ばれる論疏が、合計で計13帙68篇収録されています。
「チベット大蔵経論疏部」(テンギュル・丹殊爾)は、釈尊の御教えの真意を解釈するインド原典の論書をチベット語へと7世紀から500年以上の年月をかけて訳出したものを集成したもので、現在人類が保有するインド仏教の伝統的な注釈書の最大かつ最古のコレクションです。そのデルゲ版は、1744年に木版にて開版されたもので、正式名称を、「一切知者日親釈迦牟尼如来の仏語聖教を注釈する論書を雪国チベットの言語へと奉訳した一切の法施が不断に行われる神変の祖母・圓滿劫福徳雲海」といい、デルゲ大印経院にその原板の板木が今日も安置されていることから「デルゲ版テンギュル」と呼ばれるものであり、全213帙64512版あり、「テンギュル・リンポチェ」とも呼ばれています。
このデルゲ版は、中央チベットのシャル僧院で1334年にクンガ・トンドゥプが施主となり収集され、プトゥン・リンチェンドゥプが校訂者としてナルタン僧院の写本テンギュルを筆者したものを底本として増広して編集し、1334年に完成した「シャル写本テンギュル」、タクツェ宮殿にてシトゥ・チューキ・ジュンネーが責任編集した写本テンギュルほか四本を原本として編纂され、1737年にデルゲの法王テンパ・ツェリンが施主となって発願し、その後1744年まで7年間をかけて最終的には大校閲師シュチェン・ツルティム・リンチェンが責任校正し開版したものです。