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デルゲ版「チベット大蔵経論疏部」の阿毘達磨部は、教主釈迦牟尼如来のすべての教えの基盤となる律学処を教示する印度撰述の論疏が収録されています。
冒頭は『波羅提木叉経本疏』にはじまり、勝友『根本薩婆多部律摂』、無垢友などの律に関する註釈があり、五大聖典のひとつである徳光尊者の『律経』とその自注、『根本說一切有部毘奈耶頌』や釈光の律に関する著作などが出家者のための沙弥・比丘の細則などや 『異部宗輪論』などの著作があり、優婆塞戒について著作など律学処を学ぶ上での根本聖典が、阿波陀那などに関するものと合わせて、計18帙45篇収録されています。
「チベット大蔵経論疏部」(テンギュル・丹殊爾)は、釈尊の御教えの真意を解釈するインド原典の論書をチベット語へと7世紀から500年以上の年月をかけて訳出したものを集成したもので、現在人類が保有するインド仏教の伝統的な注釈書の最大かつ最古のコレクションです。そのデルゲ版は、1744年に木版にて開版されたもので、正式名称を、「一切知者日親釈迦牟尼如来の仏語聖教を注釈する論書を雪国チベットの言語へと奉訳した一切の法施が不断に行われる神変の祖母・圓滿劫福徳雲海」といい、デルゲ大印経院にその原板の板木が今日も安置されていることから「デルゲ版テンギュル」と呼ばれるものであり、全213帙64512版あり、「テンギュル・リンポチェ」とも呼ばれています。
このデルゲ版は、中央チベットのシャル僧院で1334年にクンガ・トンドゥプが施主となり収集され、プトゥン・リンチェンドゥプが校訂者としてナルタン僧院の写本テンギュルを筆者したものを底本として増広して編集し、1334年に完成した「シャル写本テンギュル」、タクツェ宮殿にてシトゥ・チューキ・ジュンネーが責任編集した写本テンギュルほか四本を原本として編纂され、1737年にデルゲの法王テンパ・ツェリンが施主となって発願し、その後1744年までの7年間をかけて最終的には大校閲師シュチェン・ツルティム・リンチェンが責任校正して、開版したものである。