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デルゲ版「チベット大蔵経論疏部」の阿毘達磨部は、教主釈迦牟尼如来の初転法輪である四諦法輪における慧学処・定学処を教示する印度撰述の論疏が収録されています。
まずは慧学処に関するものとして阿毘達磨の論疏が収録されており、冒頭の大目腱連尊者の『世間施設』『因施設』『業施設』という三書よりなる『施設論』にはじまり、続いて世親菩薩の『阿毘達磨倶舎論本頌』『阿毘達磨倶舎論』が続き、称友作『阿毘達磨倶舎論註疏』、満蔵作『阿毘達磨倶舎論註疏随相論』など論疏が、合計で9帙12篇収録されています。
それに引き続き、定学処に関するものとして『法集要頌経』(Udānavarga)とその註釈、龍樹菩薩の『聖法界心髄註解』、世親菩薩の『頌集論』と『頌集摂義』が合計で2帙5篇収録されています。
これらを全て合わせ阿毘達磨部は、合計で11帙17篇収録されています。
「チベット大蔵経論疏部」(テンギュル・丹殊爾)は、釈尊の御教えの真意を解釈するインド原典の論書をチベット語へと7世紀から500年以上の年月をかけて訳出したものを集成したもので、現在人類が保有するインド仏教の伝統的な注釈書の最大かつ最古のコレクションです。そのデルゲ版は、1744年に木版にて開版されたもので、正式名称を、「一切知者日親釈迦牟尼如来の仏語聖教を注釈する論書を雪国チベットの言語へと奉訳した一切の法施が不断に行われる神変の祖母・圓滿劫福徳雲海」といい、デルゲ大印経院にその原板の板木が今日も安置されていることから「デルゲ版テンギュル」と呼ばれるものであり、全213帙64512版あり、「テンギュル・リンポチェ」とも呼ばれています。
このデルゲ版は、中央チベットのシャル僧院で1334年にクンガ・トンドゥプが施主となり収集され、プトゥン・リンチェンドゥプが校訂者としてナルタン僧院の写本テンギュルを筆者したものを底本として増広して編集し、1334年に完成した「シャル写本テンギュル」、タクツェ宮殿にてシトゥ・チューキ・ジュンネーが責任編集した写本テンギュルほか四本を原本として編纂され、1737年にデルゲの法王テンパ・ツェリンが施主となって発願し、その後1744年までの7年間をかけて最終的には大校閲師シュチェン・ツルティム・リンチェンが責任校正して、開版したものである。