2020.05.14
ལེགས་པར་བཤད་པའི་ཆུའི་བསྟན་བཅོས་ལུགས་གཉིས་རླབས་ཕྲེང་བརྒྱ་ལྡན་

世界が破滅へと向かうとき、似非学問や詐欺師たちが蔓延する

『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第50回
訳・文:野村正次郎

濁世に現れる一切智者を自称する者は

修行してみると凡人よりもはるかに鈍い

天然の温泉水がどんなに熱くても

沸騰させると冷水よりも後となる

50

仏教では、人類の平均寿命は八万四千歳から十歳までへと落ち込んでゆくと伝えられている。これを「命濁」という。そんな退廃した世界において、人々は次第に正しい見解をもたなくなり、前世や来世は無いといったり、因果応報などあり得ないといった間違った考えをもつようになる。これが「見濁」である。この間違った考え方は、他の衆生を利益したいという慈悲の感情をたとえもったとしても、自らの幸福には繋がらない、そんなことは所詮慈善事業であり、無意味であると考え、慈悲の心に対する価値を低くしか評価できなくなり、衆生たちの心は過度に執着して互いに嫉妬しあったり、憎みあったりし、欲望や憎悪のなすがままになってしまう。これが「煩悩濁」である。そのような煩悩が衆生たちに蔓延するようになると、小さな争いごとは大きな災害となり、飢餓が怒り、疫病が流行し、武器が蔓延した戦慄の時代となる。これが「劫濁」である。そのような戦慄の時代が訪れる時、かつては光明を放っていた神々たちも、愛らしく鳴いていた小鳥たちですら、外見が醜くなり、表情も恐ろしく、すべての衆生たちは見るに耐えないような醜悪な姿になってしまう。これを「衆生濁」と呼ぶ。これらの破滅へと向かっている、現在のこの世界を「五濁悪世」と呼ぶ。この娑婆世界の破滅を描いている学説は、『倶舎論』にも表れている。

時代が退廃するに従って、そこには実際には能力もないにも関わらず、自らは一切智である、自らは知識人であり、文化人である、といった偽物がたくさん現れてくる。彼らは人々の恐怖や苦悩を食い物にし、時には奇怪極まりないものを売り歩いたりして生計を立てている。こうすればあなたは救われますよ、こうすれば儲かりますよ、こうすれば仕返しして、あなたの嫌いな人に復讐して、あなたの前に二度と現れないようにできますよ、といった悪魔の言葉を、不審な笑顔とともにかけてくる。仏教を利用した商売もこの世には蔓延しているし、この仏像を買えば、あなたの先祖は救われて、あなたは金持ちになりますよ、といった宣伝文句をもっともらしく語るのである。しかしこういう人たちは、あくまでも偽物なのであって、本物ではない。

もしもそういう輩が本当に大きな利益を生み出して何不自由ない生活を送っているのならば、そもそもそんな儲け話を売り歩く必要がない。もしもその人がその仏像で金持ちになっているのであれば、きっとその仏像もタダでくれる余裕があるはずである。しかし実際にはそうではない。彼らは実に卑小な商売を営んでいるのである。たとえ知識人、文化人、一切智者と自称していたからといって、何か素晴らしい作品を生み出していたり、多くの人々を高い境地に導いているわけではない。実際に修行させてみると、普通の何も知らない凡人よりもはるかに能力的にも劣っていたり、進歩がなかったりするのである。

本偈ではこれを天然の温泉水と単なる冷たい水に喩えている。不純物の多い温泉水よりも単なる冷たい真水の方が、不純物がない分、よりはやく沸点を迎えることができる。それと同じように我々も心に不純物がない方が、よりはやく仏位を成就できるのである。


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