2011.09.19

僧院生活

ゴマン学堂は1週間に6日、年間46週の僧院規則を学僧たちに課しています。その期間、僧侶たちは厳格な戒律に則った生活をしなくてはなりません。もちろん学堂内にはテレビなどの娯楽品はなく、彼らはただ仏道修行および研究のみの生活をしなくてはならないのです。

学僧たちの日課

朝5時、起床の鐘が鳴ります。しかし多くの学僧たちは既に目を覚ましており、聖典の暗記や学習などをはじめ、一日の準備を始めています。厨房では午前3時から学僧たちによって朝食の準備が始まっています。

午前6時から8時まで、学僧たちは法要に参加します。法要はロセリン学堂と合同で、デプン大僧院の大講堂で行われます。(ゴマン学堂の講堂でゴマン学堂のみで行われる場合もあります。)食事係など特別な仕事に従事している学僧以外、全員がこの法要に参加しなければなりません。

法要が終わると朝食です。通常はパンとお茶が支給されます。朝食が終われば、残飯を野良犬たちに施します。ゴマン学堂の付近には多くの野良犬がウロウロしています。これは学僧たちがいつも施しをしてあげるからです。

午前9時までは暗記の時間です。学僧たちはゴマン学堂内の道で身振り手振りをしながら、あるいは歩きながら、経典や論書を暗記します。暗記は常にテキストを繰り返し唱えるという方法であり、学僧たちの声が途絶えることは決してありません。文字通り、彼らはこうして経典や論書を身につけていくのです。

午前9時になると、「チュラ」(問答法苑)から合図の鐘が鳴ります。チベット仏教の伝統的な身振りやルールにしたがって、学僧たちは二時間ほど問答を行います。この問答は学僧たちの楽しみのひとつであり、問答で勝つために彼らは一生懸命勉強するのです。

午前11時が昼食の時間であり、それが終われば休憩時間となります。というのも南インドではこの時間になると、日差しが強く外が暑くなるため、学習をするのには向かないのです。多くの僧侶たちはこの間しばし昼寝をしたりして休息します。

12時からほぼ午後4時まで、ペティ(ペチャを導く=講義)が始まります。伝統的な仏教教育プログラムにしたがい、各学級ごとに担当のラマ(高僧)から講義を受けます。休講の場合には、この時間自習しなくてはなりません。インドの水道事情は劣悪だが、現在ゴマン学堂があるムンドゴットでは、午後2時半から午後4時まで水道事情がましになります。学僧たちはこの間にすみやかに入浴もしなくてはなりません。多くの場合には簡単なシャワーを浴びます。身体を清潔に保つことは僧侶にとって非常に大切なことの一つなのです。

午後4時から一時間、再び夕食前の暗記の時間が始まります。午後5時からは夕食ですが、通常はトゥクパ(チベットのうどん)やごはんなどであり、時折モモ(チベット風ギョウザ)などを食べます。学堂の食事を食べる学僧もいれば、各僧房で自主的に食事を作って食べる学僧もいます。学寮が若干裕福な場合には、学堂の食事よりもそれぞれの学寮で料理をして食べることもあります。

午後6時からはまた「チュラ」(問答法苑)での問答が始まります。これは大体午後10時まで続きます。時に議論が白熱し、ほとんどの学僧たちが寝静まった後でも延々と問答をしている学僧もいます。ただしどんなに遅くまで問答しても、次の日にはまた午前5時には起床しなくてはなりません。

ゴマン学堂の食事

学僧たちの食事は極めて簡単なものです。朝食はパンとお茶、昼食・夕食はパンかご飯と野菜(豆)です。時々肉類も支給されます。学僧たちは食器を持参して厨房から食事を受け取らなければなりません。自分の部屋に戻って食べたり、友達と一緒に外で食べたりします。

料理は月交替の当番制で行われているが、男所帯ですので、大体の僧侶は料理が上手になります。

また学堂が経営しているレストランも学堂内にあり、これはちょうど学食のように安値でモモやトゥクパを食べられるようになっています。また在家の者が隣のキャンプからシャバレー(肉パン)などを売りにくることもよくあります。周辺のインド人農家たちも野菜や果物を売りに来て、それを買って食べている僧侶もいます。

学僧たちの住い

学僧たちの多くは2、3人で6畳ほどの部屋を共有しています。ゴマン学堂には現在16僧房あり、各僧房には大体70人~150人ほどの学僧が暮らしています。各僧房にはゲシェ(博士)やゲゲン(教授)が常住しており、学僧たちの勉強の面倒も見ています。

いくつかの僧房にはトイレがないので、共同トイレに行かなくてはならない僧房もあります。ただし、共同トイレを利用する場合には、手や下腹部を洗うために水を自分の僧房から持参しなくてはなりません。

学僧にかかる費用

ゴマン学堂では一人一日大体20ルピー(60円)の費用しか支給できません。学僧たちはこのなかから各自で教科書を購入したり、医療費を払ったり、服や寝具など必要なものを買わなくてはなりません。現在ゴマン学堂にはチベット本土から亡命してくる僧侶が後を立たないので、ゴマン学堂の経済は非常に苦しいものなのです。

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