量七部入門・心の闇の払拭


作成日: 2009-08-17 最終更新日: 2016-09-23 作成:事務局

[帰敬文]

十方の勝者とそのご子息たちすべてに帰命します。

智慧に自在な文殊菩薩よ
悪魔を退散なさる不動尊よ
言葉に自在な仏の母である弁財天よ
著作・解説・議論の智慧が増大しますように
客体・主体・その客体を理解する方法
この三種を確定しよう

客体

さて、このうち「客体」、「認識対象」、「量られるもの」は主として同義であって、「対象」の定義は、「理解されるもの」、もしくは「知られるもの」である。「認識対象」の定義は「意識の客体となり得るもの」である。「量られるもの」の定義は、「量によって理解されるもの」である。

「客体」が何であるかという観点で分類すると、「事物」「非事物」とか、「構成物」「非構成物」とか、「常住」「無常」に分けられる。定義は以下の順である。「実用性のあるもの」「実用性のないもの」、たとえば「つぼ」、「虚空」のようなものである。「それ自身の因縁から生じたもの」「それ自身の因縁から生じていないもの」「不滅な法」「それ自身が成立している時点の次の時点には停滞していない諸々の事物」。

事物が何であるかという点で分類

「事物」が何であるかという観点で分類すると、「物」と「認識」との二つがある。前者の定義は、「極微として成立しているもの」。後者の定義は、「対象の知」である。「物」を分けると、「外界の対象物」と「内的な対象物」との二つがある。定義は、順番に、「外界の極微として成立しているもの」「内的な極微として成立しているもの」である。

「外界の対象物」を分けると、「色」「声」「香」「味」「触」と五つある。定義は、順番に、「物であって、かつ、眼という感官認識の直接対象になっているもの」「…かつ、耳という…」「…かつ、鼻という…」「…かつ、舌という…」「…かつ、身体の直接対象になっているもの」である。「色」には、白とか黒などの「色合いの色」と、正方形とかなどの「形状の色」との二つがある。「声」には「ことば」などの「生物の声」と、水の音などの「無生物の声」との二つがある。「香」には「いい匂い」と「くさい」との二つがあり、「味」には「おいしい」と「まずい」との二つがある。「触」には「なめらか」「ざらざら」の二つがある。

「内的な対象物」を分けると、「眼の色を持つ感官(有色根)」「耳の…」「鼻の…」「舌の…」「身体の色を有する感官」との五つがある。定義は順に、「内的な対象物であって、かつ、眼の感官認識の増上縁と成り得るもの」「…かつ耳の」「…かつ鼻の」「…かつ舌の」「…かつ身体の感官認識の増上縁と成り得るもの」との五つがある。分類すると、それぞれについて、「眼が客体に向かってゆく時の眼の感官」のように、「基体を有する色を持つもの」と「眼が客体に向かってゆかない時の眼の感官」のように「それと対応している色を持つ感官」との二つずつある。

事物を作用の点で分類

「事物」を作用の点で分類すると、「原因」と「結果」の二つがある。定義は順に、「ある法の有無に肯定否定必然関係にある別々の対象」の前と後とである。

「原因」が何であるかという点で分類すると、「直接原因」と「間接原因」との二つがある。定義は、順に、「ある法の原因であって、かつ、その法の原因と『それ自身』の結果との両方であるものが無いもの」「…かつその法の原因と『それ自身』の結果との両方であるものが有るもの」である。

「原因」を主要なものと一般的なものとを通じて分類すると、「材料」と「補助縁」との二つがある。定義は、順に、「ある法の補助縁に依存してその法を生ぜしむるもの」「ある法の材料に依存してそれが生じるのを援助するものとなっているもの」である。

一般に「縁」を分類すると、「所縁縁」「増上縁」「等無間縁」の三つがあり、定義は順に「ある法を客体の形象を有して直接生じさせる外界の対象」「ある法を自然に生じさせるもの」「ある法を明るく分かるものとして主として直接生じさせるもの」

ついでに、「三時」「粗略」「持続」などを解説すると、「過去」の定義は、「到達し終わったもの」である。「未来」の定義は、「到達していなくて到達し終えていないもの」である。「現在」の定義は、「生じているが滅していないもの」である。「粗略」の定義は、「『それ自身』と一体となっている方位の部分が有る極微」であり、たとえば、「つぼ」のようなものである。「方分の無い極微」の定義は、「『それ自身』と一体となっている方位の部分が無い極微」である。たとえば、「前という極微の最も小さな先端のもの」のようなものである。「持続」の定義は、「『それ自身』と一体となっている複数の前後の刹那が有る事物」である。たとえば、「年」のようなものである。「部分の無い刹那」の定義は、「『それ自身』と一体となっている前後の刹那が無い事物」である。たとえば、「文字の部分となっている六十刹那の第一番目」のようなものである。

対象設定形式による客体の分類

「客体」を対象設定形式を通じて分類すると、「顕現対象」もしくは「把握対象」、「思念対象」、「活動客体」との三つがある。

「把握客体」の定義は、「顕現してから知られるもの」である。分類すると、「現量の把握客体」、「分別の把握客体」、「無分別迷乱認識の把握客体」との三つがある。第一のものを分けると、「他者の認識の現量の把握客体」と「自己認識の現量の把握客体」との二つがあり、たとえば、順に、「ある法に『それ自身』と同じ形象を直接与える外界の対象」のようなものであり、たとえば、「感官と意に依拠している色などの五つ」のようなものである。残りの二つの把握客体は、「対象普遍」のようなものであり、「二月」のようなものである。

「思念対象」の定義は、「思念することで知られるもの」。分類すると、「確定有」・「確定無」・「遠隔対象」との三つがある。「確定有」の定義は、「量によって知られるもの」。「確定無」の定義は、「量によって顕現し得るものが知られないもの」である。「ある人にとっての遠隔対象」の定義は、「有るけれども、ある人の量には見えないもの」分類すると、「ある人によって場所が隔たっている遠隔対象」・「時間が隔たっている遠隔対象」・「自性が隔たっている遠隔対象」との三つがある。たとえば、順に、「べつの部屋にいる人の実相」・「明日目の前のこの場所にいる人の実相」・「目の前にいる鬼」のようなものである。

「活動客体」の定義は、「取捨するために向かっていく時に欺くことのないもの」である。たとえば、「声無常を理解する比量における無常のようなもの」とか、「青という感官の現量における青ということ」「つぼという分別によって限定されている言葉におけるつぼ」、「農民にとっての種とか水とか肥料や温度や湿度などを備えた田圃」のようなものである。

計量対象の理解の仕方の観点での分類

計量対象を理解の仕方の観点で分類すると、「自相と共相という二つ」、もしくは、「目の前にあるなどの三つの計量対象」がある。「自相」の定義は、「勝義として内容形成能力のあるもの」である。たとえば、「青」などのようなものである。あるいは、また、「場所と時とが重複していない事物」である。「共相」の定義は、「勝義として内容形成能力のない法」である。あるいはまた、「分別において時と場所とが重複して顕現している顕現客体」である。たとえば、分別において底が平で太っているものとして顕現しているものようなものである。「目の前にある計量対象」の定義は、「現量という量によって理解されるもの」である。たとえば、「青」などのようなものである。「隠れている計量対象」の定義は、「比量という量によって理解されるもの」である。たとえば、「青は無常である」ということのようなものである。

また、この二つの定義は順に、「経験によって増益された考察対象」‥‥‥‥

[以下つづく]