グンタン・クンチョク・テンペードンメ


Created: 2006-09-18 Last updated: 2016-09-24 Author:野村 正次郎

グンタン・クンチョク・テンペードンメ
Gung thang ‘jam dpal dbyang dKon mchog bsTan pa’i sGron me

略歴

 1762-1823年。東チベット・アムド地方のゾルゲ・メーに生まれる。五歳の時、クンケン・ジャムヤンシェーパ二世・クンチョク・ジクメワンポによりガンデン金座主ゲンドゥン・プンツォク(dGe ‘dun phun tshog)の転生者として認められ、七歳の時にラブラン・タシキル大僧院へ迎えられ、クンチョク・ジクメワンポにより居士戒ならびに沙弥戒を授かり、「クンチョク・テンペー・ドンメー」(dKon mchog bstan pa’i sgron me)という名を授かる。

 17歳の時に中央チベット、ラサの大本山デプン大僧院ゴマン学堂の法流に入り、顕教の学習を修了し、「ゲシェー・ラランパ」となる。以後密教の学習をする。21歳のときダライ・ラマ・ロサン・ジャンペル・ギャンツォより具足戒を授かり比丘となる。

 25歳の時にラブラン・タシキル大僧院へ戻り三十歳の時第21代タシキル僧院座主となる。

 大本山デプン・ゴマン学堂やその別格本山ラブラン・タシキル僧院では、ジャムヤンシェーパ一世、トゥクセー・ガワンタシー、グンタン・テンペードンメを「一切智者三父子」と呼び、学問上、信仰上の重要な祖師として数え上げている。

著 作

彼の顕教の著作は、古くからデプン・ゴマン学堂の教科書として採用され、一般向けの『水の教え』『木の教え』といった書物や密教の儀軌の説明など多岐に渡り、また修辞法や説明の巧妙さによりゲルク派全体で定評がある。

『自他等換修習法』bdag gzhan mnyam brje sgom tshul

一般にゲルク派の道次第(ラムリム)では、弥勒の『現観荘厳論』より伝わる「七因果口訣」(rgyu ‘bras man ngag bdun)と、シャーンティデーヴァより伝わる「自他等換」(bdag gzhan mnyam brje)との二つの発菩提心の仕方があると言われているが、本書はこの後者の発心の方法を説明する書である。本書の特徴として、前半で、我執との問答を通じて、自己と他者とが等価であることを詳しく述べていることがあげられる。本書は跋文でも述べられるように、一座の観想で修習される自他等換の方法を述べており、比較的容易な観想法であるので、ここに翻訳しておいた。テキストはショル版全集を使用し、読みやすい翻訳を心がけた。